ま、たくさんあるんですけど、その中の一つ。
宇宙飛行士選抜第三次試験で、福田さんという54歳のロケットエンジニアがいました。彼は結局不合格になってしまい、主人公は合格します。
その後、主人公がNASAの宇宙飛行士候補生として「ASCAN(AStronaut CANdidate)訓練」に参加します。その中のカリキュラムで、自動制御の自動車(ラジコン的なもの)をロケットで打ち上げ、ゴールを目指すというイベントがあります。これは一般に開かれたイベントで、それにASCANが乗っかっている感じです。なので、日本の一般企業からも参加できます。
主人公のチームは、独創的な工夫をして上位に入賞するんですが、その時に優勝したのが日本から参加したチームで、2位以下をぶっちっぎりで突き放しての優勝でした。2位以下はゴールすらできなかった中で、優勝チームは、圧倒的なタイムでゴールします。
主人公が話しかけると「実は、我々はこういうのを専門にやっている会社でして・・・。上司にこの大会で勝てないようだと困るとプレッシャーをかけられているんです。」と日本チームのメンバーが答えて、よく聞くと、その上司とは福田さんなんです。その日本企業は、ロケット開発で有人宇宙飛行を目指す民間企業でした。
世界中から参加しているロケットの大会であっても、俺たちは有人ロケット開発を専門にやってるんだから、勝って当たり前ってスタンスです。ま、勝って当たり前というか、相手ありきの大会ではなく、いかに短い時間でゴールにたどり着くかという試合なので、自分たちの技術だったら、この成績は当然だというスタンス。
これね、これ、最高。
有人飛行を目指すロケットエンジニアが、こんなちっちゃいロケットでラジコンを飛ばす大会でゴールできないわけないだろうという技術者の誇りです。
私が高校卒業後、1年留学していた池袋で、古文の黒須って先生がいました。
その人が同じようなことを言っていたんですが、確か難関大学の模試かなんかですごく難しい問題があって、生徒が質問に来たんで「こうこうこうだから、これしかないじゃん」みたいな説明をしたら、「それは先生だからわかるんでしょ」と言われたと。
これが大事なんだって。
古文の先生なんだからわかって当然、確かにそうなんだけど、それを自分のものにしろって。「それはお前だからできるんでしょ」とみんなに思われるくらい勉強して実力をつけろって。
そういう人ってかっこいいなあと思うわけです。
そんで、数年前、情報処理の高度資格ってのがあって、それを受験するとき後輩に「酒井さん、大丈夫なんですか?」って聞かれました。まあ、それなりに難しい試験なんですね。特に、私は会社ではバカで通ってますし。実際、勉強とは相性悪いし。
自分でもちょっと難しいなあと思っていたんですが、このときの黒須の言葉を思い出して、「俺が受かんなかったら誰が受かるんだよ」と大見得を切りました。
こんなことを言って落ちたら超かっこわるいので、必死で勉強して(ぎりぎりで)合格しました。最近のはWebで自分がとった点数がわかるんです。
あ、これはもちろん、俺ってすごいだろっていう自慢ではなくて(ちょっと自慢だけど)、自分の実力より少し難しいことを普通にやろうとすることで、少しずつ成長していって、自分の普通のレベルが上がっていくんだなと実感した経験でした。それを繰り返していくことで、自分では当たり前と思っていることが、他の人から見ると「すごい」ってなるんでしょうね。
その普通のレベルを少しずつ上げていって、仕事でもまわりに安心感を与えるような人になりたいなと思います。
まあ、プライベートでもですけど。家ではごろごろするのが得意です。
つまり、仮面ライダー フォーゼみたいな存在です。 |
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