梶村啓二、「野いばら」読みました。
でました!
今年度、堂々の一位です。
いつも、1月~12月で、勝手に最優秀賞を決めていますが、今年は、年度(4月~3月)にすることにしました。この作品のせいで。
日経小説大賞という、なんか最近できた賞の受賞作です。
幕末に日本に駐在したイギリス人武官と武家の女の人との恋愛小説です。
イギリス人の視点で語られる日本文化賛美の数々が、日本人でいることの自尊心をくすぐられて、「日本人でよかったなあ」なんて、すごく単純に感動しました。イギリス人の視点って言ったって、日本人の作者が書いてるわけだから、日本人の視点なんですけどね。でも、そういう穿った見方はしないで、小説の内容をそのまま受け取って、美しいものを美しいと表現する、素敵な小説でした。
セザンヌのような、わっさーと花が満開に飾られる美しさではなく、茶室にポツンと一輪挿しされる花の美しさ。
そういう、日本人はなぜか生まれながらに知っている審美眼を、外国人の目を通して語られます。
大人の恋愛小説でした。
私の帰りをいつもエレベータのところで待っていてくれる春彦。涙が出そうになります。 |
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