大野更紗、「困っているひと」読みました。
新聞の広告欄で面白そうだなと思って借りてみました。
難病に罹った人の闘病記というか、生きざまを綴ったなかなかヘビーな内容です。
作者の大野さんは、福島にあるムーミン谷で生まれた普通の女の子(人)です。
小学校、中学校は成績一番、生徒会長。高校も県で一番の進学校に進学し、一浪して上智大学フランス語学科へ入学。そこで、ビルマの難民問題、政治問題に危機意識を持ち、NGOやらそういう活動に熱中します。そんで、卒論もそんな感じのやつで大学院に進学し、そこで難病が初めて発症します。
自己免疫疾患系の難病で、私が勝手に解釈した感じだとアトピーのスゴイやつみたいのだと思います。生きるか死ぬかくらいのすごいやつ。
そういう闘病記的なものが、ライトタッチでぐわんぐわん書かれてます。すごいスピード感に圧倒される感じです。
前途揚々、これからだって時に発病。この先どうなるかなんて全然わかんない。そんな中で必死に生き抜く壮絶さ(何度も死のうとしてましたが)がビシビシ伝わってきますが、あくまでライトタッチ。
学生時代に読んだ宮本輝の小説で(なぜか最近、よく宮本輝が出てくるな)、幸福の度合をみんな相対的に感じててダメだって書かれてました。「あんたんとこの夫はまだ平社員だが、うちのは取締役だ」とかいう、誰かと比較して自分は幸福だってのを認識するっていう価値観。
そうじゃなくて、他人に関係なく「自分は幸せだ」って思える、絶対的な幸福観、それが大事だって。
私はそれを読んで、「いいこというなあ」と、就職活動のときだったんで、就職活動のノートにその文章をメモっときました。なんというか、別に今考えると特別なことじゃないけど、就職活動で「自分は何ができるんだろう、社会の役に立てることってなんだろう、どんなことをして満足できるんだろう」と考えていた心理状態にマッチしてたんでしょうね。
ま、とにかく「幸福ってのは相対的なもんじゃねえ、絶対的なもんなんだ!」って、本当に思うし、そのように行動しているつもりですが、子ども以外は実際は9割がた相対的にじゃないと幸福感は感じません。子どもはね、よその子と比べてどうこうってのはなくって、自分の子がそのまま100%可愛いですけどね。
たとえば、毎日健康で暮らせることって、普通に生活していたらあまりに当たり前のこと過ぎて幸福だなんて感じることはありません。
でも、こういう難病の人の話を読んだりすると、自分の幸福さを知るわけです。
いつもの毎日の当たり前の幸せ、それを気づかせてくれた本でした。
ちなみに、作者は自分の将来がまったく見えない、明日生きられるかどうかもわからん、そんな状態で農薬を飲んで死のうって考えてた時に、恋をして、そこからびっくりするくらい力が出てガシガシ前に向かって進んでいきました。
やっぱね、人間の生きる原動力って、愛なんです。
苺見てたら目がトローンとしてきた |
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