いかにも知った風に専門用語を使ってますが、今回の震災を期に浸透した言葉で、私はNHKスペシャルで知りました。
NHKスペシャルでは、「正常性バイアス」「愛他行動」が津波の被害を大きくしたとありました。
これはそれぞれ、どのような意味かといいますと、
●正常性バイアス:
外界の強烈すぎる刺激に対して、理知的動物がそれを心理で抑制して、慌てないようにしてしまうこと。
●愛他行動:
自分の危険を顧みず(認識せず)、他者に利益をもたらす行動をとること。
例をあげると、正常性バイアスは、大地震のあとに津波が来ることは容易に想像がつくにもかかわらず、本棚から落ちた本を整理するとか、近くの人たちと「さっきの地震、すごかったねえ」なんて世間話をして、津波がくるかもしれないという非日常的な可能性を排除してしまうことです。
愛他行動は、実際に津波が来るってのがわかったときに、正常性バイアスのかかった人たちを何とか連れて逃げ出そうと、一生懸命説得して回るような状況です。
自分も逃げないと津波に巻き込まれてしまうのにもかかわらず、回りの人を放っておけない。
これは、役場の人とかが、みんなを逃がすために最後まで残って、津波に巻き込まれてしまったようなケースで、美談として語られますが、いや、間違いなく美談だと思いますが、専門家から言わせると、「人間の一般的な行動原理」だそうです。
愛他行動はちょっとよくわかりませんが、自分を省みるに、「正常性バイアス」が強めだなと感じます。
放射能の問題とか、ワーワー言っていますが、基本的なスタンスとしては「(きっと)大丈夫でしょ」と無根拠に思おうとします。
どっちかっていうと、スキャンダラスなニュースを目の当たりにしたとき、そのニュースの中身よりも、ニュースが報道されている健全さに目がいっちゃうタイプ。
たとえば、政治家が汚職したとかの報道があれば、その不正が正しくチェックされ、国民が知る状況になることは民主主義が成熟している証左なので、逆に安心してしまいます。
汚職したこと自体はあまり興味がない。
政治家は個人で人間なんだから、汚職がなくなることは永遠にないと思うし、でもそのチェック機能は社会としての仕組みなわけだから、それが正しく機能していることは喜ばしいことだと考えてしまうんですね。
ただね、無根拠に「大丈夫だ」ていうのも危険だとは思いますが、同じように、無根拠に「大変だ!」って騒ぐのもダメだと思うんですね。
明治の粉ミルクが放射能汚染されていたっていう報道で、「明治はもう絶対買わない」とか言っている人がいますが、いや、今一番安全なのは明治だから。
検査しているから汚染されているってことがわかったわけで、それも基準値よりもはるかに小さい値で公表しているわけだから、企業としての社会的責任(CSR)も果たしている立派な会社だと思うんです。
少なくとも、今回の汚染がわかった粉ミルク以外を購入する分には、検査済みなわけで安全度は相対的に高いはずです。
「日本国内の粉ミルクは全部危ない!」とかって騒ぐ人も、リテラシーがないというか、リスク管理がわかってないというか、ほんと馬鹿だなと思います。
確かに放射能汚染という観点では、諸外国よりも日本製品のほうが高いと思います。
でも、外国製品はそのほかのリスク、たとえば、極端な例ですが、中国製の粉ミルクは有害物質のメラミンが含まれていたように、放射能以外のリスクを孕むわけです。
そういうトータルのリスクを勘案して外国製品を購入するのであればよいですが、「とにかく日本のはあぶない」とかいうのは、本当にもうナンセンス。
中国製の粉ミルクを飲んで死んでほしいです。
私の大好きな小説「十二国記」で、うろ覚えですけど、人は不安な状態に陥ったとき、「大丈夫です」っていう人よりも、その不安をより深刻にいう人の言葉を信じてしまうというようなことが書いてありました。
確かにそうかもしれません。
でもね、無根拠に他人の不安を煽るのはダメだと思うんです。
うーん、今書いていて気づいたけど、これもほかの人を助けたいという愛他行動なのかなあ。
自分が危ないと思っていたら、ほかの人にも気づいてほしいと思いますもんね。
うーん、難しい。
でも、なんだかわかなんない一般の人の意見を聞くんじゃなくて、専門家、それも複数の専門家の意見をよく聞いて、総合的に判断してほしいなと思います。
日本産婦人科学会が大丈夫だって言ってるのに、それを信じないで、ワーワー騒いでいるなんだかわかんない人の意見を信じるのって、俺には信じられないわ。
やっぱ、知る権利と母乳は最高だよね |
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