2012/04/07

君について行こう

君について行こう―女房は宇宙をめざした
向井 万起男
講談社
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向井万起男、「君について行こう」読みました。
宇宙飛行士、向井千秋さんの夫です。

NASAでは、家族支援プログラムというのがあって、宇宙飛行士の家族はさまざまなサポートを受けることができます。ただ、家族も遠い親戚とか入れたら大変なことになるので、範囲を明確に定義しています。

もっとも厚いサポートを受けられるのは「直系家族(immediate family)」です。その次が「拡大家族(extended family)」。

直系家族とは、誰を指すかわかるでしょうか。
普通に考えれば、両親と子供、配偶者でしょうか。
ところが、子供と配偶者は直系家族に含まれますが、両親は拡大家族で、兄弟や他の親類と一緒の扱いです。

日本では儒教の影響なのか、子が成長すると親を助ける(扶養する)文化がありますが、アメリカでは、親から見た子は扶養対象ですが、子から見た親はただの家族であって扶養するという考え方がないんでしょうね。したがって、家族のつながりに順番をつけると、まず自分がいて、次に奥さん、その次が子ども。こうやって考えると、当たり前な感じもします。

向井さんには子どもはいません。そのため、直系家族は作者だけ。きっと、宇宙飛行士になるため、なってからはその訓練に一生懸命で、子どもを産み、育てる時間はなかったのかもしれません。この本を読むと、奥さんである向井千秋さんは、子どもを作って普通(?)の生活を送ろうという考えはまったくなかったみたいで、服も買わないし、食器は割れないプラスティック製だし、化粧もしないし、髪型も短ければいいみたいだし、みなしご気質(誰にも依存しない)だし、なんか、かなり変な人です。その変人と結婚した作者も相当変なんでしょうけど、奥さんを愛しているんだなあってのを強く感じました。でも逆に、千秋さんは旦那さんのことをあまり好きではない、というか興味がないような・・・。

宇宙兄弟の作者は、この本を読んで宇宙飛行士の漫画を描きたいと思ったそうで、確かにそう思わせる力強さ、牽引力がある傑作だと思います。奥さんへの愛情だけではなく、宇宙飛行士の素晴らしさ、宇宙への憧れ、NASAの魅力が語られます。逆に、宇宙飛行士の大変さも率直に書かれています。宇宙飛行士に認定され、毎日厳しい訓練を続けても、10年以上宇宙に行けない人はたくさんいます。向井さんもNASDAの選抜試験に合格してから、スペースシャトルに乗るまで9年かかっています。

でも、そんな苦労は、スペースシャトル打ち上げのシーンを読むと、すべて吹き飛んじゃうんだろうなと思います。スペースシャトルが飛び立つ瞬間の描写は本当に素晴らしく、手に汗握るし、感動します。

続編もあるみたいなんで、明日借りてきます。

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