平野 啓一郎
講談社 (2012-05-15)
売り上げランキング: 20,545
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近未来の、人類が火星に行くSFです。
図書館で借りたんですが、受付で「予約の本が届いていると思うんですけど」と図書カードを差し出したところ、おばはんに「ドーン!ですね?」と言われました。
何かが爆発するときのドにアクセントがあるイントネーションです。
言われてみればそうですけど、私はまったくその表現に気づかなかったので衝撃でした。
これは、夜明けという意味の「DAWN(ドウン)」であって、爆発ではないからです。
つーか、この表紙、すごく夜明けっぽいじゃんね。
同じようなので、昔、スティーブン・キングの「IT(イット)」という本を読んでいたら、嫁さんが「アイティー(information technology)」と読んでいて、衝撃でした。
確かに言われてみれば、私はその業界で働いているわけですから、嫁さんからしてみれば「アイティー」のほうが自然ですわな。
そんで、内容ですが、平野啓一郎は「分人」という考え方を提唱しています。
NEVERまとめのリンクはっときました。
簡単にいうと、人は「本当の自分」という固定された1人の人間がいるわけではなくて、常に相対的なものだという考え方です。つまり、私は「嫁さんといるときの自分」「子どもといるときの自分」「会社の上司といるときの自分」というのは、それぞれ違っていて、その違いは意識的にしているものではなく、その異なる自分がすべて自分だということです。
ここで混同されやすいのは、「キャラを作る」ってのとはまったく異なる考え方だということです。分人は、意識的に自分を変えるのではなく、自然とそういう自分が出てくる、つまりそういう異なる自分がたくさん積み重なっているのが自分だということになります。
多重人格ともまったく違います。
多重人格は基本的に人格間の関係性がありません。
ジキル博士はハイド氏のことを知りません。
ファイトクラブのエドワード・ノートンは、ブラッド・ピットのことを知りません。
ですが、分人は他の分人のことを当然知っています。
ただの自分ですから。
この考え方はとても面白くて、一人称が安定しない私には、とても説得力もあります。
とはいえ、上司にはペコペコして、部下には高圧的みたいな人にはなりたくないなあと思います。
本自体は、それほど面白くなかったです。
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