2012/11/09

【読書】誰かが足りない

誰かが足りない
誰かが足りない
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宮下 奈都
双葉社
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宮下奈都、「誰かが足りない」読みました。

短編集です。
基本的に登場人物は交錯しませんが、「ハライ」という人気レストランに、10月31日の夕方6時に来店した人たちの個別のエピソードが語られます。

本の力ってなんだろうなと考えます。
本を読んで、温かい気持ちになったり、怒ったり、悲しくなったり。

そういう感情って日常の中でも湧き起こるものですが、それほど起伏は激しくありません。
平坦な日常から、もう少し強いエモーションを感じたいんでしょうか。

ただ、それだったら映画でも一緒で、映画ももちろん素晴らしいんですが、やっぱり本とは違う。
読書は能動的な行為で、自分が読まなければ先に進みません。
映画は、目をつぶってしまわない限り、基本的にはぼーとしていても、どんどん先に進みます。

あと、映画は、部屋で一人でビデオを見ることもありますけど、映画館や自分の部屋でも恋人や友人、家族と一緒に見たりすることが多いような気がします。
個人的な体験ではないんですよね。

本は、誰が読んでも同じ内容が書いてあるわけですが、基本的には時間的にも空間的にも個人的体験であるような気がします。

そういう意味では、映画よりもより日常に近い。
自分で行動して、個人的な体験を得る。

だから、(私の場合)本当の自分の体験と勘違いしてしまうのかもしれません。
お話だってのはもちろん分かってますが、自分が体験したことのように思ってしまいます。

この本の感想ではなくなってしまいましたが、そんな個人的体験が集まったよい本でした。
何がよかったのかをうまく説明できませんが、今年読んだ本の中では、一番余韻が残りました。




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